今回ご紹介する車はフランスの名車、アルピーヌ A110 1300G(1973年式)。
軽量ボディと卓越したハンドリング性能でラリーシーンを席巻した伝説的モデルです。フランスの郊外を思わせる邸宅に鎮座した彼の姿は、只者ではないオーラを放っていた。それもそのはず、本車両は、当時物のオリジナルを尊重しつつ、長年の愛情を注いだオーナーによって徹底的にメンテナンス・カスタマイズされてきた一台。
エンジンはSスペックを誇り、細部までモンテカルロラリーを意識した仕上げを施した。現存する個体の中でも高い完成度と信頼性、希少性と実用性を兼ね備えています。

車体番号は 110 16*** です。車両重量はわずか 750kg と非常に軽量、ラリー由来の軽快な走りを体感できます。購入時の走行距離は約 22,000km、現在の走行距離は 37,000km に到達していますが、走行中のトラブルは一切なく、エンジン・足回りともに絶好調のコンディションを維持しています。
本車両は、民間車検場ではなく、厳格な検査基準を持つ陸運局で車検を取得済み。さらに公認取得も済んでおり、信頼性を重視したメンテナンスが徹底されています。この点は、購入を検討される方にとって大きな安心材料となるでしょう。




現オーナーも、日常的に自宅から峠へ走りに出かけ、しっかりと走り込んだ後に帰宅していたという実績があります。ホイールも初期型のゴッティを装着しており、こちらもリプロではなく当時物の超軽量アルミホイール。なお、公道走行のための車検には純正ホイールが必要なため、車検用の純正ホイール5本を付属いたします。





張り出した フレアーオーバーフェンダー は、単なるデザインではなくラリーで戦うための機能美。ワイドに構えた姿からは、走りへの本気度が伝わってきます。そこに組み合わされる 4灯のフォグライト は、当時の夜間ラリーで闇を切り裂き、ドライバーに勝利をもたらした象徴的な装備。
エンジンをかけた瞬間から、「このマシンでステージに飛び出していくんだ」と胸が高鳴る…そんなワクワクを感じさせてくれる仕上がりです。
ラリー仕様を彩る数々のステッカーは、オーナーが当時の写真や資料を徹底的に研究し、印刷業者と何度も打ち合わせを重ねて、当時のステッカーを忠実に再現しました。
その結果、1970年代のラリーシーンをそのまま切り取ったかのようなオーラを放ち、眺めているだけで心が高鳴る仕上がりとなっています。



ラリー仕様への拘りは、派手なステッカーや迫力あるオーバーフェンダーだけではありません。リアフェンダー後方のダクトをよく見ると、左右でサイズが異なるのに気づくはずです。実は右側のみ大きく設計されており、その奥にはオイルクーラーが配置されています。
走行中に取り込む冷たい空気が直接オイルを冷やし、高回転時の熱ダレを防止。外観の美しさと同時に、レース現場で培われた実戦的な知恵が息づいているのです。








ワイパーは信頼のマーシャル製に換装され、さらにネジは当時らしいマイナスネジへと変更されています。驚くべきは、そのネジ溝の向き。すべて縦方向に揃えられており、雨水が溝に溜まらないように配慮された仕上げです。見えにくい部分にまで手を抜かない徹底ぶりは、まさに職人の美学と呼ぶにふさわしいこだわりです。




インテリアは、ラリー仕様を象徴する計器類が所狭しと並び、本格的な雰囲気を漂わせています。視認性に優れた大径メーターを中心に、油圧計や電圧計、さらにはラリーストでおなじみの Halda Tripmaster まで搭載。ドライバーはまるで当時のモンテカルロ・ラリーに挑むかのような気分を味わえます。
シートもホールド感が高く、長距離でも安定したドライビングを実現。小さなコクピットに凝縮された「走るための機能美」は、乗り込んだ瞬間からワクワク感を掻き立ててくれます。




実際にコクピットに腰を下ろし、タコメーターやスピードメーターを覗き込むと、このA110が単なるクラシックカーではなく「走るために生まれたマシン」であることを実感します。アクセルに軽く触れるだけで針が鋭く反応し、エンジンの鼓動がダイレクトに伝わってくる感覚は格別です。レスポンスは鋭く、それでいて滑らか。計器のひとつひとつが生き物のように動き出し、ドライバーとの一体感を高めてくれます。




車内にはロールゲージが装着されており、単なるラリー仕様の雰囲気づくりにとどまらず、実際にボディ剛性を高める役割を果たしています。軽量ボディで知られるアルピーヌA110において、この補強は走行安定性と安心感を大きく向上させ、峠道やサーキット走行でも心強い装備となっています。







エンジンルームを開けると、まず驚かされるのはその清潔さです。オイルの飛散も一切なく、ゴムやパッキン類も良好な状態を保っています。キャブレターは丁寧にメンテナンスされ、安心して高回転まで回せる仕上がりです。
本車両のエンジンも只者ではございません。
ハイコンプのSスペックであり、ミッションは 5速の353強化ミッションを搭載しており、峠を走らせたら狼に変貌します。
ラリーシーンを意識した徹底ぶりは、各所に散りばめられています。加えて、予備のクラッチやキャブレターも付属しているため、走行を楽しみながらも安心感を持って維持することが可能です。
プラグは「10番」を採用し、キャブレターはもちろんセッティング済み。各種ゴム部品も交換されており、信頼性と実用性を兼ね備えた状態に仕上げられています。



※車体番号は画像処理しています。↓


ボンネットを開けると、その美しい仕上がりに思わず目を奪われます。バッテリーは信頼性の高いOPTIMA・BATTERIESへ変更され、強力な始動性能と安定した電力供給を実現しています。さらに、ヒューズボックスが追加装備されており、万が一の際にはヒューズが溶断して火災を防止。クラシックカーでありながらも、安全性への配慮が徹底されています。
また、存在感のある赤いホーンは当時物の金属製FIAMM製ホーンで、リプロダクトの樹脂製では再現できない、独特の重厚な音色を奏でます。加えて、配線やリレーはラリー車らしく実用的かつ整理された処理が施され、信頼性を高めつつ当時の雰囲気をしっかりと演出。
エンジンルーム同様、ボンネット内も「ただの旧車」ではなく、本気のラリー仕様を意識した仕立てであることが感じられます。クラシックな魅力と現代的な安心感を併せ持つ、非常に完成度の高い一台です。
このA110には、ただのスペアパーツではなく、未来のオーナーに夢を手渡すかのような特別な付属品が用意されています。
まず、ラリー仕様から車検仕様へとスムーズに切り替えることができる車検対応部品一式が揃っており、安心して公道を走らせることができます。さらに、豊富なジェット類やネジ類、Oリングまで揃ったキャブレターのフルキットも同梱されており、セッティングを追い込む楽しみと、安心して維持管理できる心強さを兼ね備えています。









そして、未使用の当時物プラモデルや写真集、整備マニュアルといったコレクションアイテムも含まれており、眺めるだけで胸が高鳴る、まさに趣味人の心をくすぐる内容となっています。サイドミラーやレンズ類、電装部品、マフラー、ヘッドレストといった予備パーツも数多く揃っており、走らせる楽しみを広げてくれるのも大きな魅力です。







加えて、予備のクラッチ、車検用アルミホイール、A110の歴代モデルをまとめたポスターなども同梱。そして最大の注目は、競技用グループ4仕様のガソリン給油口やカバーが付属することです。これは市場に滅多に出回らない希少パーツであり、コレクターズアイテムとしても非常に価値の高い逸品です。さらに、当時の取り付け説明書まで残されており、実際に装着を検討する際にも安心できる内容となっています。
まさに「夢が詰まったパッケージ」と呼ぶにふさわしい内容であり、次のオーナーにとっては、この一式を手に入れること自体が特別な体験となるでしょう。